作品「白蟻」の読み方について

こんにちは。小栗虫太郎公式サイト運営担当です。

表題の件ですが、おそらく解決したかと考えられますので、こちらに記載させていただきます。

通常、小栗虫太郎作品「白蟻」はみなさん「しろあり」と発音されていると思います。

ですが、私たちの母(小栗虫太郎末娘)とその娘たち(すなわち私たち)は
「しらあり」
と発音しており、それが当たり前だと思っていました。

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ところが、今回の小栗虫太郎展の開催に関わらせていただくあたりでしょうか。
みなさんが「しろあり」と発音されていることに気がつきました。

あれ?どっちが正しいの?と気になり母に確認をしたところ、
「おばあちゃん(虫太郎妻)が『しらあり』と発音していたの。
ちなみに、生きている白蟻については、例えば『シロアリが出た』と普通の発音をしていたよ。
作品の『白蟻』はおばあちゃんも兄たちも『しらあり』と発音していたよ」
と言うのです。

母はものすごく記憶力が良いので間違いはないと思いました。

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その後虫太郎展も終盤になり、ギャラリートーク後に母から、今回の小栗虫太郎展の実行委員のお一人であり、開催に尽力くださった成蹊大学の浜田教授に、この発音についての質問をしました。

その内容がこちらに記載されています。

参加して下さったご遺族の川舩通子さん(小栗虫太郎四女)から、後日お電話をいただいた。「白蟻」は、「しろあり」でよいのか、というお問い合わせである。虫太郎夫人とみさんも三男の宣治さんも、「しらあり」と発音していたというのだ。そこで初出であるぷろふいる社の単行本を確認すると、本文は総ルビで、「白蟻」には確かに「しらあり」と振られている。作品のタイトルもまた、そのように読まれていたと考えるのが妥当だろう。

成蹊大学リポジトリ「共同研究 小栗虫太郎」より引用

私たちは、霧が晴れてすっきりしたような気持ちになりました。
浜田先生には心から感謝申し上げます。

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ただ、往時の広告等、「しろあり」とふりがなを振られたものも見受けられます。
みなさまはいかがお感じになられるでしょうか。

※なお「しらあり」の発音は「シラウオ」「おしぼり」等と一緒です!